我が家には
猫と
描き手がそれぞれ
二人います。
それぞれが
バラバラのスタイルで
生活しています。
これまで私は
休みの日を制作や採取に
充てていました。
今は
殆んど毎日が休みなので
私には制作と採取する時間が
余るほどあります。
私は
人の作品を見ることを
好みません。
人が描いた絵を観ることを
全く必要としていないのです。
朝から晩まで仕事をして
休日は
制作をして
自然に触れて
料理をして
それで時間と欲が満ちていました。
それで十分でした。
今日
友人の展示に足を運び
じーっと画面を見ていたときのこと。
最近
自分が扱っていない画材の
微かな表情を夢中で見ている間
マスクや
お金や
世の中や
自分の今やらが全部
時間まで
頭から消えていることに
気がつきました。
他人の筆の運びや
絵の具の重ね方
描いている場所なんかを想像して
一人遊ぶ自分に
出会ったのです。
自分の制作中ではなく
人の作品を見るとき
こんな風になったことは
今の今まで
ありませんでした。
久しぶりの東京は
なんだか色んなものが
真新しく見えました。
ひとりひとりが
バラバラなのに
みんな
マスクをしていました。
なんだかまるで
絵本のようでした。
この一年
考える時間や
何もしない時間が出来たことで
今まで無かった何かが
芽生えてきたのかもしれないなと
私は
白い方の猫を
なでなでしながら
思うのでした。