この1ヶ月間頭の中を駆け巡っている男の話を書いてます
坂の下に保育園があって
そこの側ではとてもいい粘土がとれたから
よく二人でカチコチツルツルの泥団子を作った
私は28、彼は25に住んでいた
一部屋多い間取りが私は羨ましいなと思った
鍵を忘れた彼の部屋までよじ登って
ベランダのドアを開けたとき
彼は目を丸くしてた
ヒカルゲンジが流行っていた頃
彼はひっそりとCDを買ったんだと言っていたけど
私はキノコ狩りに夢中だったからよくわからなかった
私には弟がいる
それを彼は何故か『おつきさん』と呼んでよく遊んでいた
夏に二人で郵便局のバイトをした
初めて貰った札束で
団地の広場にあった屋台の焼鳥を死ぬほど食べて笑った
高校は別々だったけれど私のうちによく来ていたから
彼は私の高校の友人とも顔見知りになった
私が二浪目になってしまった頃私の家は団地ではなくなった
けれど大学に入ってからも数回飲んで笑った
彼からデッサンを教えて欲しいと言われた
喜んで25のあの部屋に行ったがほとんどはくだらない話で終わった
ここからが思い出せない
どこかで生きていればいいと思っていたが
違った
友の健康を心配することが当たり前だと思っていたが
違った
会って過ごす
風景や
時間や
記憶を
沢山作りたいから
人は人に会うのだなと
今思う
欲しいものは
お互いの
寿命ではなくて
会って過ごす
時間だったんだ
これだったんだと
今
思う
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